蜜恋の行方—上司と甘い恋をもう一度—


「それは、俺への褒め言葉? それとも上司へのゴマすり?」

意地悪な質問だ。
課長だったら、私がどっちの意味で言ったのか分かるハズだし、ゴマすりなんてできない事だって分かってるんだから。

「どっちでも、好きな方でとってもらって構いません」
「じゃあ、褒め言葉で受け取っておくかな」

私がどんな反応をしてどんな答え方をするのかを楽しんでる気がする。

課長は昔からそういうところがあった。
いっぱいいっぱいの私とは違って、いつも余裕の顔で微笑んでた。

そして……。そんなところも好きだった。

「吉野が困ってるみたいに見えたんだよ」

唐突に言われて振り向くと、「昼メシん時」って言葉を足される。
課長は壁に寄りかかったまま、対面にある窓の外を眺めながら続けた。



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