蜜恋の行方—上司と甘い恋をもう一度—
◇声にならない、スキ
なるべく早いうちに、なんて言われながらも、普通の会話さえ緊張でガチガチになっちゃう私が、スムーズに課長を誘い出せるハズがなくて。
けど、今日を逃せば週明けになっちゃって誘いにくくなるのは、目に見えてる。
大体、そこまで待たせたら先輩にせかされそうだし、待たせる事で期待を募らされても困る。
そう思って決戦に臨んだ金曜日。
課長の姿は朝からなかった。
「休みらしいよ」
聞いてはみたけど、先輩たちもそう答えるだけで、詳しくは知らないらしい。
そして、課長が休みな以上、誘えないでいる私を責める事もできないみたいで、ホっと息をついた。
に、しても。
課長はなんで休みなんだろう。
もしかして、無理しすぎて体調を崩したとか……?
試練をひとつ回避できた事に胸を撫で下ろした途端、そんな心配が浮かんできて。
空席の課長のデスクをチラチラ気にしながら、その日の業務をこなして定時を過ぎた時。
知美から内線がかかってきた。