蜜恋の行方—上司と甘い恋をもう一度—
「うわっ」
松浦の部屋は、二階建てのアパートの一階だった。
同期の集まりで一度来た事があるから間取りも知ってるけど、確か、1LDK。
一人暮らしだったら十分すぎる大きさで、同期の男子組はよく泊まってってるらしい。
知美と私を見るなり、悲鳴みたいな声をあげた松浦。
連絡なしの訪問はまずかったかなって思う私の隣で、知美がにっこり微笑む。
「これ、優花と私からお見舞い。
風邪、治してね」
「あー……サンキュー。
っつか、連絡くれよ、一応……」
「でも寝てたら悪いかと思って。
ピンポンしても出てこなかったら、ドアの前にでも置いておいてメールするつもりだったし」
「とか言いつつ、俺のこのマヌケな部屋着姿を笑うためだろ。絶対。
前、一回見た時、すっげー笑ってたもんな。鉄板だとか言って」
「まさか。病人を笑い者にする趣味なんてないもの。
いくら松浦の部屋着が眼鏡に緑ジャージで芸人以外何者にも見えなくても、今は笑わないわ」
「……あっそ」