蜜恋の行方—上司と甘い恋をもう一度—
苦笑いした松浦が、後ろ頭をかきながら私に視線を移す。
黒い短髪でセットなんか必要ないでしょ、とか知美に言われてるけど、確かに寝起きでもそんなに変わらないかも。
……なんて、松浦に失礼だけど。
「吉野、悪いな。わざわざ」
「ううん。土日でゆっくり休んで治してね」
「ああ。つーか、今日一日休んでたら割ともう復活してんだ。
朝は9度近くまであったけど、さっき計ったら微熱だったし。
だから……よかったら寄ってく?」
急な誘いにびっくりしながら、首を横に振る。
いくら知美が一緒でも、一人暮らしの男の人の部屋に上がるのは抵抗がある。
前みたいに同期全員とか、大人数だったら少し違ってくるかもしれないけど……。
「ううん。寝てるところ悪いし……」
歯切れ悪く断わる私を見て、知美が助け舟を出してくれる。
「そうよ。病人の分際で口説こうとするなんてどうかしてるわ。
風邪が移ったらどうしてくれるの?」
「いや、まぁ、その通りだけど」
「余計な事考えていないで休む事」