蜜恋の行方—上司と甘い恋をもう一度—
「いい?」って念を押された松浦が、「はい」と笑いながら答える。
知美の言葉は、多少言いすぎなんじゃないかなって思う事もあるけど、松浦からすると、私が思うほどトゲトゲしくは感じないみたいだった。
それは知美なりの優しさだって、松浦も分かってるからだと思う。
もっと洞察力を磨きなさいなんて、私と松浦はよく知美から注意されるけど、松浦に関してはそんな事ないと思う。
私が男の人が苦手だって事も、松浦は言う前に気付いてくれたし、同期の人の事も結構よく見ているのは知ってる。
それを表に出さないのは、そういうキャラに徹してくれてるからだって事も。
“いつでも明るくてちょっと抜けてる松浦”は、同期のムードメーカーだから。
「じゃあ、お大事にね」
「ああ、ありがとな」
上下の緑ジャージで手を振る松浦に手を振り返した後、駅までの道を引き返す。