蜜恋の行方—上司と甘い恋をもう一度—


「昨日のお昼休み、トイレで優花の課の先輩が話してるのを聞いちゃったの。
ただの先輩と後輩だから厳しいかなーって話してたけど、どうせ飲み会のセッティングでも頼まれてるんでしょ?
そういうの、苦手なくせに断われないから」
「……すみません」
「でも、先輩方は期待薄いって考えてるみたいだから、そんなに重荷に考えなくても大丈夫そうよ。
優花と藤堂課長が、過去深い関係にあったなんて思いもしないだろうし」
「え……っ、な、なんで知って……」

そこまで言いかけて、口を塞ぐ。
しまった!って思ったけど……もう手遅れ。

目の前には、逃げられる気なんてちっともしないほどの笑顔を浮かべた知美の姿。
知美ほど笑顔で誰かを従わず人なんて、社内でも社外でも知美くらいだと思う……。

整った顔立ちだからか、笑顔が余計に怖い……。



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