蜜恋の行方—上司と甘い恋をもう一度—
「優花、私は普段から鋭いけど、恋愛関係には殊更鋭いの。
だから、誤魔化してもムダだって事は覚えておいてね」
そう前置きした知美が、ズバリ言い当てる。
「優花が言ってた忘れられない人って、課長の事ね?」
「……あ、の、」
「大丈夫よ。私は優花が困るような事、会社で絶対に口外したりしないから」
「あ、ごめん……。知美の事を疑ったわけじゃなくて……。
……ごめんね。
その……えっと、ごめん……」
ただ謝ってるだけの私を見て、知美が困り顔で微笑む。
その顔は、私を追い詰めようとしているわけではないみたいだった。
「そんなに好きなんだ。
声に出して認めるのも怖いほど」
咄嗟に、そういうわけじゃないって否定しようとした。
けど……。
結局何も言わずに口を閉じる。
それが肯定になるって分かってたけど……知美の言う通りだったから。