蜜恋の行方—上司と甘い恋をもう一度—


「いたずら電話だと思ったら、本当にいるし」
「え……?」
「今、大島から電話があって、吉野を置いてきたから一泊だけさせてやってくださいって」
「えっ?!」
「話しきれていない昔話があるんじゃないかって言われたけど……。吉野、大島に俺との事話したのか?」
「あ、ごめんなさい……!
あの、でも、知美は絶対に言いふらすような子じゃないし、課長の立場を悪くするような事は……」

焦りながら話す私に、課長がふっと笑って首を振る。

「そんな事心配してないよ。
ただ、吉野が俺との事を誰かに話したのが意外だっただけで」
「……え?」
「どんな風に話したかは知らないけど、俺のいないところで話してくれたのが嬉しくてさ」

そう言った課長が、私の手から紙袋を取り上げる。
そして「とりあえず、部屋に入るか」って微笑んだ。




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