とある国のお姫様
下に降りた私は
桜茶屋を開けるための準備を始める。
戸を全て開け、箒で店の前を掃除し、
そして暑い日には打ち水までをして
店の奥に置いてある長椅子を
店の外に置き、紅い布地を被せ、
日差し除けのため傘を立て、
店の中へと通じる戸にのれんをかけ、
茶葉や菓子などを取り出す。
そこまでして、ようやく
この家、店の主人が階段を降りてくる。
「おはよう、美桜。
今日もありがとうね」
柔らかな笑みを浮かべる人だ。
「おはようございます、おばさん。
もうお店始められますよ」
私がそう言うと
おばさんは優しく微笑む。
「あんたは本当に自慢の娘だよ。
みんな羨ましがってるよ」
おばさんはそういうと
私の頬にそっと手を添えた。
「全部おばさんのおかげです。
本当に感謝してます」
そういうと私はその手に頬を寄せる。