たとえ愛なんてなかったとしても
若干呆れながら、キャシーに目をうつすと、ウサギのトレーナーに、くるくるの茶髪を耳の下で二つに結んでいた。


本当にシンプルなスタイルだけど、
......かわいい。

いつものセクシーな感じもいいけど、こっちもいいなぁ。


上から下までジロジロ見ながら目の保養をしてから、そういえば本番前だったと思い出す。

集中しなきゃいけないのに、こんなことを考えてる場合じゃない。


だいたい、いくら可愛くても、性格は魔性の女......いや、魔女なんだ。

奔放というか、自由すぎるし。
騙されるな、俺。


そもそもただのメンバーで、仕事仲間で、それだけだ。
この前までアドレスさえ知らなかったくらいじゃないか。


相手は何も意識してないし、俺たちの間に起きたことは......、そう事故だと思えばいいんだ。


それなのに、なんであの日から、こんなにキャシーのことが頭から離れないんだ。


俺がどれだけ気にしてたって、相手は十分の一も気にしてないというのに。
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