たとえ愛なんてなかったとしても
「本当に、余計なお世話だな。
それなら、俊輔が打ち上げの挨拶と、反省会もやっておけよ。

お世話になったスタッフにもしっかりお礼を言って、それからマネージャーに明日からの予定聞いておいて。

俺は、後から行くから」


「えっ!?......はい、分かりました」



反省会やら何やら、後から俺がやればいいと思われるのかもしれないが、最初のうちに、酒が入る前にやっておかないと、やれなくなるからな。

最後の方になるとグダグダになって、誰がいるのかいないのかさえ分からなくなる。


俊輔に仕事を託し、また後でとメンバーを送り出した後に、俺も荷物を持って、俺たちも行こうと声をかけて、控え室を出ようとする。



「えっ......どこに......?」


「どこって、話ができるとこ。
お前が言い出したんだろ。

すぐ近くに個室のある和食の店があるから、そこでいいよな?」


「どこでもいいけど、お金足りるかなぁ。
日本円ほとんど両替してないんだ」


「それぐらいおごってやるから、早くしろ」


「で、でも、兄さんお金ないんじゃ......?」


「馬鹿にするな、......たくさんはないけど、お前におごるくらいの金ならある」



どれだけ貧乏人だと思われてるんだ。
金がないとは言ったが、そこまでせっぱ詰まってはいない。

さっさと行こうと控え室を出た。
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