たとえ愛なんてなかったとしても
「はぁ......、やっぱり余計なことしたかな......」



確かに話しかけられはしなかったけど、何やら一人言を言っていて、よけいに気が散る。

何回もため息ついてるし。



「余計なことって?」



ずっと一人言言われても怖いし、仕方ないから聞いてあげることにした。



「エリックさんに弟と話したらどうですかって......」


「あー......。
余計だったかもしれないけど、気にしなくていいんじゃないですか?

嫌だったら断ると思いますよ」



事務所のお達しは断れなくても、メンバーからあれこれ言われて断れない人じゃない。



「だよな......。にしても、元々親しいわけでもないし、どう接していいのか......。
俺たちの方が動揺してて、本人の方が冷静なくらいだ」



本当に状況の割には怖いくらいに冷静だ。

内心どう思ってたとしても、笑顔でステージに立っていたのは素直に尊敬する。

もし、私の親がきていたら......。
私だったら逃げだしてただろう。
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