たとえ愛なんてなかったとしても
これ見てと、携帯を渡されたので、大人しくそれを見ると。


そこには恐らくファンが個人的に撮影し動画サイトに投稿したと思われる、俺たちのライブのトーク中の映像があった。


キャシーの胸を凝視する俊輔、というタイトルの通り、他のメンバーのトーク中にキャシーの豊かな胸ばかり見ている俺の姿が。


全く自覚してなかったけど、......見てるな。


誰だよ、こんなの撮ったのは!
ライブは個人撮影は禁止だろ!


マナー悪いな......と、大事なライブ中にメンバーの胸ばかり見ている自分のマナーの悪さは棚に上げて、心の中でファンに八つ当たりした。


こんなのが動画サイトに投稿されて、全世界の人に見られているなんて、とんだ恥さらしだろ。



「これは......この時の衣装の露出が激しかったら、風邪引かないか心配で......。

胸元が空いてたから、喉冷やさないか気になって、その、純粋な気持ちで俺は......」



しどろもどろに言い訳する俺に対して、くすくす笑うキャシー。


なんだってこいつは昨日あんなことがあったのに、余裕たっぷりなんだ。


こっちは今朝キャシーに言われたことがトラウマになりそうだっていうのに。
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