たとえ愛なんてなかったとしても
店に入ると、イラシャイマセと中国人の店主が迎えてくれた。

かなり日本語が上手な人なら分からないけど、大体の場合はイントネーションでどこの国の人か分かる。


中華独特の赤を中心とした内装に、招き猫やだるまが置いてあり、一体どこを目指してるのか分からない。

けど、食べる分には困らないから良しとしよう。

現地の人も結構きてるみたいだし。


寿司とかうどんもあるけど、なんとなくあまり期待できないから、醤油ラーメンとチャーハンのセットを頼んだ。



「はあ......」



出てくるのはため息ばかりだ。

ため息をつくと幸せが逃げると言うけれど、それが本当なら俺の体からはとっくに幸せが逃げていってるに違いない。


イライラした時に吸っていた煙草も、肺活量が減るとキャシーに何度も言われて全部捨てた。


俺って好きな人の色に染まるタイプだったんだな。
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