たとえ愛なんてなかったとしても
「キャシー!キャシーにお土産があるんだ!
これ!」


何も返事がないのでどうにか状況を変えようと、紙袋から、今日買ったくまを取り出す。



「なに?ぬいぐるみ?
子供じゃないのに」


「まあ、そう言わないで。
このくまがキャシーに渡したいものがあるらしいから、受け取ってやって」



くまを操ってキャシーのほっぺにちゅーさせて手に持たせた後、腹話術のようなことをした。

くまの口動かないけど。



「今日はごめんね、キャシーちゃん」


「あんた、いくつよ......」



そんな俺にキャシーは呆れながらも、くまが手に持っている例のネックレスが入った箱を開けた。

気に入ってくれると、いいけど......。



「......私が好きな色知ってたの?」


「ああ、赤のグロスとか小物たくさん持ってたから好きなのかと思って」



撮影では様々な色を身につけるけど、プライベートでは赤が多かったし、それによく似合っていた。

だから、迷ったけど真っ赤な薔薇にしたんだ。
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