たとえ愛なんてなかったとしても
名前も知らない子だけど、勘違いされている女の子が可哀想になり、いたたまれない気持ちになる。



「ち、違います......!
俊輔さんに、です」


「マジ?罰ゲームじゃなくて?」


「違います!」



まだ疑惑の目を向ける俊輔に、女の子はメモのようなものを俊輔に渡して、私のいる方向と逆に走り去っていた。



「俺にもついにモテ期がきたか......。
いや俺だって、モテてもおかしくないよな。
他のメンバーが個性が強いから目立たないだけで、俺だって......」



メモを握りしめて、ぶつぶつ言っている俊輔に近づく。

あまり関わりたくないけど、私トイレに行きたいの。



「キャシー!?いつからいた!?
まさか、さっきの見てた......?」


「うん、これ私のアドレスです、辺りから。
盗み聞きするつもりじゃなかったんだよ?」


「最初からじゃん!

これはっ、その!違うんだ!
アドレスは渡されたけど、連絡するつもりはないから!
また何か言われても断るつもりだし!」



必死で言い訳する俊輔。

私に言い訳する必要ないのに。
私たち付き合ってるわけでもなんでもないんだから......。
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