たとえ愛なんてなかったとしても
「そんなこと言わずに連絡してあげたらいいのに。
かわいい子だったのに、もったいない」


「キャシー......、俺は......」


「私トイレ行きたいから、もう行くね」


「今日さ!食事会終わってから、ラーメン行かない?
いつものとこ」


「......行かない。ダイエット中なの。
悪いけど、他の人誘って?」



仕事が終わってから、俊輔と二人でよく行ったオッサンしか行かないような、汚いラーメン屋。

だけど宿舎からも近いし、深夜四時まで開いていて、私たちのような不規則な仕事でも行きやすい。

それに何よりすごく美味しかった。


私もお気に入りの店だけど、パリ旅行から帰ってからは一回も行ってない。


ラーメン屋に行っていないというよりも、俊輔と二人きりになること自体を避けていた。


俊輔もたぶんそれに気づいている。

何か言いたげな俊輔に胸が痛んだけど、足早にそこから立ち去った。
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