たとえ愛なんてなかったとしても
「勝手なことしないでよ、だから俊輔は芸能人向いてないって言ってるの。

一回したら満足らしいから、私は一回ぐらい平気だったのに。
またしつこくされることじゃない」


「平気じゃないように見えたよ。
嫌がってただろ。
しつこくされるなら、俺、社長に相談するよ」


「やめて、そんなことしたって、揉み消されるだけよ」



むしろ俊輔が社長に疎まれるだけ。
悔しいけど、村上の方が売れてるし、立場が上だから、事務所はそっちを守るだろう。

私のためにそこまでしないでほしい。

さすがに村上も犯罪行為まではしないだろうし、しつこいのを我慢すればいいだけなんだから。
そのうち興味もなくすだろうし。



「だからって......!やっぱり俺、納得できないよ」


「ねえ、私がたくさんの男と寝てる女だってこと忘れたの?
私にとって一回やるぐらい何でもないことなの。
分かったら、もう放っておいて」



しつこく食い下がってくるので、さすがにここまで言えば納得するだろうと冷たい声で言い捨てる。
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