たとえ愛なんてなかったとしても
「そう......、そのままで良いから聞いて。
聞くつもりはなかったけど、全部聞こえてた。

村上さんともめてたみたいだったから、止めに入ろうか迷ってたら、俊輔さんがきて、その、よけいに出ていけなくなって......」



ドア越しに話し出すミヒ。
私もドア越しに返事をした。



「分かったから、一人にしてもらえる?
今はアンタと話したい気分じゃないの」



ただでさえ考えがまとまらないのに、いつも自分を嫌って、嫌な態度をとる人と話せるほど人間がデキていない。

いつまでもこんなところにいたくもないし、早く考えを整理したかった。



「うん......。これだけ言わせて。
この前ひどいこと言って、ううん、この前じゃなくて、今までごめん」


「急に何?何か企んでるの?」


「違うの。正直に言うと、今でもキャシーのこと好きじゃないし、女として理解もできない。

でも......やっぱりこの前は言い過ぎた。
女一人だったら厳しいこともあるし、キャシーがいて助けられたことも何度もあったのに......。

まだ好きにはなれないけど、だから......その、キャシーがいてくれて、感謝してる」
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