たとえ愛なんてなかったとしても
「ありがとう。それとキャシーは俊輔さんのことどう思って、」


「どうも思ってないし、付き合う気もない」


「そっか......、うん。とりあえず先に戻るね」



ミヒがドアを開けて出ていく音を聞いた後、個室から出て、目薬をさしてから崩れた化粧を直す。


よし、大泣きしたわけじゃないから、なんとかごまかせた。


私も戻ろう。
みんなの......ところに。


ミヒに言ったことは、本当の気持ち。
本当に付き合う気は一切ない。
好きは好きだけど、たくさんの男のうちの一人で特別でもない......はず。


だいたい付き合っても上手くいくはずないもの。
私と俊輔の、恋愛に対するスタイルはあまりにも違いすぎる。


それなら、最初から期待なんて持たせずに諦めてもらった方がマシ。
そしたら、友達でいれる。

それが一番いいのよ......、きっと。
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