たとえ愛なんてなかったとしても
私と俊輔さんの話をして、エリックさんは難しい顔をしてため息をついたと思ったら。

ふと目が合って、急に私の目元に手を伸ばしてきた。



「目元のメイクが崩れてる。
いつも思うけど、アイラインが濃いんじゃないか。

俺はもう少し薄い方が良いと思う」


「な......、別にエリックさんの好みとか、関係ないんです！

その時の新曲プロモのコンセプトとか、時期でも変えるし。

それに私はなんとなく眼差しが強いイメージがあるって言われるから、そんな感じのイメージで、メイクさんにしてもらってるだけで......！」
　　　　


その時によっても違うのだけど、だいたい私はアイシャドウやチークで華やかな色使いをするよりかは、作り込んでいるけど、色使いは抑えたメイクをしてもらうことが多い。

華やかな色は使わないけど、アイラインは濃い目に引いて、目元を強調する。


こんなことをいちいち説明しなくても、同業者のエリックさんはよく知ってるだろうけど。

顔に触れられて、二人の距離が一気に近くなったことに動揺して、必死で説明してしまう。
< 314 / 559 >
表紙・目次

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop