たとえ愛なんてなかったとしても
数日前、新曲をレコーディングしていた時に事件は起こった。


歌の方は炎彬さんを含め、みんなほぼ完璧に仕上げてきていて何の問題もなかったんだ。
歌詞の部分は......。


それだけですめば良かったんだけど、炎彬さんが、歌詞にない部分のah,ah,yeahみたいなフェイクを入れたのがまずかった。


普段通りしてくれたら良かったのに、新曲のコンセプトのセクシーを意識しすぎたのか。

本人はセクシーにやってるつもりかもしれないけど、声が上滑りしていて、......はっきりいってキモい感じになっていた。


ただキモいんじゃなくて、何回も聞きたくなるようなクセになるキモさ。


だいぶおかしかったけど、これはこれでアリなのか？と笑いをこらえながらやっていたら。

キャシーが本人に向かってキモいとはっきり言ってしまったせいで、ついに耐えきれずにふきだしてしまった。


......誰もが心の中で思いながらも、どう注意するべきか悩んでいたことを。


それでなぜか怒りの矛先がキャシーだけじゃなく、俺にまできて今に至る。

わざと笑ったわけじゃないんだから、そんなに怒らなくてもいいのに......。


そのあと、ミヒと二人で炎彬さんの声マネしてネタにはしたけど。......バレたら、もう一生口聞いてもらえないだろうな。

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