たとえ愛なんてなかったとしても
「二人でイケナイことしてたりして」


「は?なに言って......」



一瞬俺もそうかもしれないと思ったけど。
メンバーなんだから二人きりで話すことぐらいあるだろうし。仕事中だし。

そもそもエリックさんはミヒのことをそんな対象に見てなかったはずだ。
だから俺たち付き合ってるわけで。



「彼女が他の男と密室で二人になってたら、気になるでしょうけど。
私たちは私たちの仕事をしないと」



それもそうかと思い、そろそろ行こうとキャシーの方を振り向くと。



「それとも。
私たちもイケナイことする?」


「なにが......、なに考えてんだよ!」



予想外に、少し動けば触れてしまいそうな距離までキャシーが近づいていて。

慌てて、ハイヒールをはいてもまだ俺よりも低い位置にある肩を押して、距離をとった。

真っ赤なグロスでツヤツヤした唇が目に毒だ。
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