たとえ愛なんてなかったとしても
「こういうの......困るんだよ。
キャシーにとっては冗談かもしれないけど、俺はそんなに簡単に冗談にはできない」



メンバー同士のたわむれ、おふざけだと、俺の心にもう少し余裕があったら軽く流せるんだろうけど。

自分の彼女だけを見ようと、必死で忘れようとしてる最中で、こんなことされたらいくらなんでも困る。



「冗談じゃなかったら?
本気だったらどうする?」


「どうするって、......どんな意味だよ。
あの時、もうつきまとうなって、キャシーの方から言ったんだろ。
俺に構われたくないんじゃないのか」


「そうね、あの時はそう言ったわ。
でも今は違う。
本気で誘ってるの」



息がかかりそうなくらいまで近づいて話すキャシーに。キャシーが近づくたび俺は一歩後ずさる。

なんだか甘い匂いがして、これ以上近づくと頭がおかしくなりそうだ。
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