たとえ愛なんてなかったとしても
「今さら何言って......、どれだけ勝手なんだよ。俺の気持ちはともかく、ミヒと付き合ってるの知ってるだろ。

友達の彼氏を誘惑するなんて、ミヒのことまで裏切るのと同じだ」



そうだ......、俺とキャシーとの間に起こったことはひとまず置いておくとしても。
ミヒと友達になったんじゃないのか?



「友達の彼氏を誘惑するのも、刺激的で悪くないかもね」


「......本気で言ってるなら、お前のこと見損なったよ。

今までミヒがキャシーにとってきた態度は、たしかに良くなかったけど。だけどミヒだって今は必死に歩み寄ろうとがんばってる。

それなのに」



本気で言ってるならショックだ。

たくさんの異性と関係を持つのも理解できないけど、それを言ったらうちのグループの半分が理解できないやつだし。

俺にだって許せることと許せないことがある。
お互いに割り切って遊ぶならともかく、友達の恋人に手を出すのは、やっぱりやっちゃいけないだろ。


キャシーは、俺が思う"普通の付き合い"という枠にとらわれない女だとは知っているけど、最低限の人としての常識はわきまえてると思っていた。

人とズレているところはあっても、一度信頼した人は大事にするし、意外と優しいやつなんだ。自ら友達を傷つけるようなやつじゃない。


それとも、俺の思い違いだったのか......?





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