たとえ愛なんてなかったとしても
「私が今考えてるのはね、俊輔のことよ」


「キャシー......」


口では拒絶してみても、形だけは抵抗してみても。

私を見る目に熱い欲が宿ってること、
それだけはごまかせないわ。

優しい俊輔が時々する、熱い目が、好き。



「彼女がいるとか、ミヒのためとか、
言い訳はいらない。

私が欲しいか欲しくないか、どっち?」


「そんな聞き方......っ、ずるいだろ。
俺は......」



俊輔が何か言う前に、その唇に自分のを重ねる。


私は誰のものにもならない。
それでいて、欲しいものはたくさんある。
ワガママな女なの。  


私はあなたの彼女にはふさわしくない、不適切な女だけど、ミヒだってふさわしくない。


他の女ならいいけれど、ミヒにだけは渡さないわ。









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