たとえ愛なんてなかったとしても
「そんなにいいか?その、レイナって」


「何言ってるの!?炎彬くん、まさかレイナちゃん知らないの?」


「いやさすがに名前は知ってるけど」



現役大学生のシンガーソングライターでまだデビューして一年かそこららしいけど、日本で暮らしていたら、よく聞く名前だ。

十代二十代の若い女子を中心に歌詞が共感できると人気があるみたいだし、年末の新人賞もとった。



「すごくいい曲作るんですよ。
レイナちゃんの作る曲は全部好きです」



そうなのか......。
ミヒは大ファンみたいだ。

名前と、どんな雰囲気の歌を歌うくらいは知っているけど、あまりじっくりとは聴いたことないからな。



「レイナっていつも同じような曲作る人?
私はあまり共感できない。

未練がましい曲ばっかり」


「なに、その言い方。キャシーみたいに振られたこともないような人には分からないかもしれないけど......」



ここのところ様子のおかしかったミヒがレイナの話をして、珍しくテンションが高いと思ったら。

キャシーの発言により、またもピリピリモードに。



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