たとえ愛なんてなかったとしても
彼女をなだめる彼氏はちょうど飲み物をとりに行ってて、肝心な時にいない。

いたところで、あいつの場合よけい怒らせるかオロオロしてるだけなのは目に見えているから、大して変わらないかもしれないが。



「んーでも確かにレイナちゃんって自分で曲作ってるから、毎回切ない曲が続くと心配になっちゃうよねぇ」


「そうだよね、立て続けに切ない曲だと、その時の心境が出てそうだよね......」



英俊によって、ミヒの気持ちが怒りからレイナへの心配に変わる。

なんだかんだ言って、結局、英俊が一番女の扱いが上手い。


英俊の場合誰かをひいきするのではなく、誰からも恨まれないように仲良くするのが上手だ。

まったく要領がいいやつだと半分憎らしく思いながらも、なぜか心の底からは憎めないやつ。



「あのー、いいかな?
とにかく炎彬はデュエットする曲を一週間後までに練習しておいてね」



俺らが勝手に盛り上がって置いてきぼりになっていたマネージャーに分かりました、と返事をする。
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