たとえ愛なんてなかったとしても
「炎彬、ちょっときてもらえる?」



マネージャーが何を言いたいのか分からずにいると、なぜか顔色を伺いながら上目使いで俺を見るキャシーに練習着のTシャツを引っ張られて。

そのまま練習室の外、廊下に出る。



「怒らないで聞いてね?
炎彬に謝らないといけないことがあるの」


「お前が、俺に?
なんだよ?怒るかどうかは聞いてみないと分からないけど」



キャシーに謝られることなんてあったか?
まぁ態度悪くて腹の立つことはあっても、それはお互いだし、いつものことだ。

マネージャーといい、キャシーといい、一体今日は何なんだ。


キャシーが俺に改まって話をすることなんて初めてで、薄気味悪い上に嫌なことしか想像できない。


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