たとえ愛なんてなかったとしても
トークが終わり、俺たちは他の歌手がトークをしている間にスタンバイする。


会場に応援にきてくれたファンの熱い声援と視線。


マイクを握り締め、スポットライトを浴びるこの瞬間だけは本物だろう。


この瞬間だけは、俺たちは一つのグループとして一体化する。


後は全て、偽物でも。





収録が終わり、衣装から私服に着替え、次の仕事場に移動するべく、車に乗り込む。


今日はみんなよく声も出ていたし、ミスもなかったと上機嫌でいたが。

いつまで待っても女たちが来ないから呼びにいくように運転手に言われ、一気に気分がそがれた。


どうせ、いつものことだろ。
本当にあいつらには呆れる。

よく飽きないよな、とため息しか出てこない。


関わり合いになりたくなかったが、次の仕事に遅れても困るので、仕方なく呼びにいく。
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