たとえ愛なんてなかったとしても
「考えたくても彼女がいないから、考えられないですよ。
......家族のことを考えていました。
兄弟二人とも歌手になることが夢だったんです。その夢が叶って、弟と番組で共演できるなんて信じられなくて」
「離ればなれになっていた弟のトニーさんとの共演、嬉しいでしょうね。
それでは、次の話題にいきましょう」
いくら動揺していても、トニーとは踏んでいる場数が違うし、俺もプロだ。
これくらいなら簡単に取り繕うことができる。
しかし、いくら表情や言葉を取り繕ったとしても、自分の心までは取り繕うことはできないみたいだ。
いつも通り、誰がいようが、何が起ころうが、ただ自分の求められているキャラクターを演じるだけ。
たったそれだけのことだ。
難しいことじゃないはずだろ?
一瞬でも、その簡単なことさえもできなくなっていた自分に強い苛立ちを感じる。
多少なりとも、動揺した自分が許せない。
他人のことなんて、どうだって良かったはずなのに。
......家族のことを考えていました。
兄弟二人とも歌手になることが夢だったんです。その夢が叶って、弟と番組で共演できるなんて信じられなくて」
「離ればなれになっていた弟のトニーさんとの共演、嬉しいでしょうね。
それでは、次の話題にいきましょう」
いくら動揺していても、トニーとは踏んでいる場数が違うし、俺もプロだ。
これくらいなら簡単に取り繕うことができる。
しかし、いくら表情や言葉を取り繕ったとしても、自分の心までは取り繕うことはできないみたいだ。
いつも通り、誰がいようが、何が起ころうが、ただ自分の求められているキャラクターを演じるだけ。
たったそれだけのことだ。
難しいことじゃないはずだろ?
一瞬でも、その簡単なことさえもできなくなっていた自分に強い苛立ちを感じる。
多少なりとも、動揺した自分が許せない。
他人のことなんて、どうだって良かったはずなのに。