たとえ愛なんてなかったとしても
「何のことか分からないけど......。
でも苦しんでるように見えるよ。

今までのエリックなら間違ってない、なんてわざわざ言わなかった。
間違っていたとしても、自分のやりたいようにやってきたじゃない」



どうしたの?と、キャシーは俺の腕の中で体を反転させてから、胸元に顔を埋めた。

苦しんでいる?俺が?
......そうだな、そうかもしれない。

他のやつには誤魔化せても、キャシーにだけは誤魔化せないな。


世間でいう真っ当な関係ではなくても、体だけの関係でも、きっと俺を一番理解してるのはキャシーだ。


だから、俺はキャシーが手放せない。
心を通わせることがなくても、いくら他にどれだけ男がいても、それでも。

一番居心地の良い関係を失いたくないんだ。愛がなくても、間違っていたとしても構わない。







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