たとえ愛なんてなかったとしても
「あれ?キャシーどうした?
おーい......、キャシーさん?」



俺の胸に手をつけ、うつむいて黙りこんでしまったキャシーを不思議に思って、その手を握って、キャシーの顔をのぞきこむ。

表情を見た瞬間、思わず息をのんだ。
......キャシーは、目にいっぱい涙をためていたから。



「あんな女、好き、じゃない。
だって、仲良くなりたいって言ったのに......、うそ、ついた」


「うん、そっか......。
せっかく仲良くなれると思ったのに、そうなれなくて寂しかったんだよな?」



ヨンウンさんほどではないけど、キャシーは途端にたどたどしい話し方になり、涙をこらえながら必死で何かを訴えようとする。

そんなキャシーが、なんだか可愛く思えてくる。


笑顔のキャシー、怒った顔をするキャシー、
困った顔をするキャシー、大人っぽい顔をするキャシー。
テレビの前でキャラ作りするキャシー。
色んな顔を見てきたけれど、そのどれとも違う表情。


普段のキャシーは色気がありすぎて、本当に俺の一つ年下なのか疑問に思うけど、今のキャシーは普通の年相応の女の子に見えた。

むしろ年よりも幼く見えるような......。



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