たとえ愛なんてなかったとしても
「普通だよ。

納豆、キムチ、豆腐とザーサイと、ピーナッツとりんご。
それから、砂糖とオイスターソースと豆板醤とマヨネーズで味付けした。

全部兄さんの好きなものでしょ?」



普通......か?
おにぎりに豆腐を入れるなと言いたいところだが、それ以前の問題のような気もする。


なにやら女がヒョンスに作ったみたいだが、想像するだけで俺まで気分が悪くなってきた。
もうおにぎりじゃなくて、テロだろ。

俺は納豆もキムチも大嫌いだから、さらに気分が悪い。



「そ、そう。
ちゃんと味見した?
ゴミみたいな味がしたよ。

兄さんがあげた料理の本見てないよね?
あれほど本の通りにしてって言ったのに」


「ゴミって何よ!

料理の本におにぎりの作り方載ってなかった!
兄さんが好きなものを、たくさん入れたら喜ぶと思って......、時間がなくて味見は出来なかったけど。

......そんなに言うんだったら、全部食べずに捨てたら良かったんじゃん!」



とんでもないものを食べさせた上に、しまいには逆ギレする女。そんなものを全部食べたなんて、すごいやつだな。

いくら温厚なヒョンスでも、そろそろキレるんじゃないか。

さすがの俺も、今のヒョンスには心から同情した。
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