たとえ愛なんてなかったとしても
「そうそう、ちょっと体の調子が悪いんだよ。実はさー」


「知ってる。全部聞こえてた。
変なおにぎり食べたんだろ?よく得体の知れないものを食べる気になるよ。

お前って、本当に年下に甘いよな。
もっと厳しくしつけた方がいいんじゃないか」


「ちゃんと言うべきことは言うよ。
だけど、兄さんとして頼られるとついつい甘やかしちゃうのはあるけどねー」



こいつは基本誰にでも優しいけど、年下萌え属性でも持っているのか、特に年下には甘い。

しかも、年下の女だけとかではなく、男女問わず無類の年下好きなので、さらにタチが悪い。

いや別に悪くはないのだけど。
何が悪いかって、こいつのにやけた顔を見てると、なぜか俺がいたたまれない気持ちになるから嫌だ。



「へえ......。
じゃあ兄さん、俺にも焼肉おごって」


「えー、俺がエリックにおごるの?
あ、でも、エリックから誘ってくれるなんて初めてだよね?嬉しいなぁ。

残念だけど、今日はこの後すぐに台湾に帰らなきゃいけないんだよね。
スケジュールに余裕のある時に、時間みつけていこうよ」



笑顔を絶やさずに、焼肉好きなの?とか、いつが空いてる?と質問攻めにするヒョンス。

......イヤミも通じないのか。
どこまでもおめでたいやつだ。

それか、こいつの場合は、イヤミと分かっててわざとやってるのか?




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