たとえ愛なんてなかったとしても
優しくされれば、優しくされるほど、反発することしかできない自分が、みじめになるばかりだ。


自分ではできた人間ではないと言うけれど、ヒョンスがそうじゃないのなら、この世界中のどこにも"できた人間"なんて一人もいないだろう。


そうだ、どこが似ているというんだ、俺はお前みたいにこんな歪んだ世界でまだ人を信じることができるほど、できた人間じゃない。



「何が友達だ......、俺はお前のことを友達だなんて一度も思ったことがない。

お前の言う誰かに頼ったり、頼られたりなんて、俺はゴメンだ。
自分一人で全てをやった方がよっぽど楽だろ」



俺には他人の優しさなんて必要ない。
血のつながった家族でさえ、簡単に裏切る。

信用して、後で裏切られるくらいなら、初めから自分以外は信じない方がマシだ。


テレビの前とはまるで違う俺の話を黙って聞いていたかと思えば、しばらくして、耐えきれないといった様子で、ヒョンスは声を出して笑った。



「おい、笑うとこじゃないだろ」





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