たとえ愛なんてなかったとしても
「ミヒ、やめろ。
次の仕事あるの分かってるのか?」



キャシーに対して振り上げたミヒの手をつかんで、静止する。


ったく、何回目だよ。
いい加減にしてほしいのはこっちの方だ。


毎回毎回呼びにいくはめになる俺の身にもなってほしい。



「どうして......、エリックさんはいつもキャシーの味方するんですか?

この女とデキてるから!?」


「俺はどっちの味方でもないし、キャシーのことも何とも思ってない。
もちろん、お前のこともな。

俺は、次の仕事に遅れたくないだけだ。

言い合いがしたいなら、仕事が終わってから思う存分やりあえよ」



俺の言葉にミヒは悔しそうにうつむいて、バッグをつかみ出ていった。


キャシーは相変わらずの笑みを浮かべたまま、少しはミヒに優しくしてあげたら?とからかうように言った後で、ミヒに続き、出ていく。


大きなお世話だし、お前にだけは言われたくない。


全く面倒な女たちだ。


最後に忘れ物がないか確認した後に、二人の後を追った。

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