たとえ愛なんてなかったとしても
今度こそ移動するために車に乗り込むと、空いている席が無くて隣同士に座ったミヒとキャシーは相変わらず険悪な雰囲気をかもし出している。


他のメンバーは、この二人の険悪さを知ってか知らずか、素知らぬ顔で各自音楽を聴いたり携帯をいじっていた。


いつもリーダーの俺が呼びにいくはめになり、俺ばかりが被害を受けている気がする。


俺が被害を受ける原因として、リーダーであること以外に、俺の存在が女たちの対立を深めているというのもあるだろうな。


ため息をつきながら、携帯をチェックして遊び相手の女たちからきていたメールに返信する。


男でも女でも、面倒でしつこいやつは苦手だ。


恋愛も面倒だから、遊びたい時に適当に遊べればいい。


しつこい女は後々面倒なので、遊び相手も俺と同じような後腐れない考え方の女しか選ばない。


しかし面倒なことに、俺の苦手なタイプであるミヒから好意を寄せられているようだ。


はっきりと言われたわけではないが、ほぼ間違いない。


何を勘違いしているのか、俺の交友関係に口出ししたり、嫉妬しているかのような発言をしたり、他にも色々。


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