シンデレラガール〜私と病気と失恋と〜
今日は、あきチャンがお見舞いに来てくれる事になっていた。


私はテレビを見ながらも、


仕切に廊下を気にして、


今か今かと待ち侘びた。


テレビの面白くない内容なんて、頭にも入ってこない―――。


……耳をすませていると、


チャランチャラン…


鍵と鍵が擦れる音、


そして男の人の大きな靴の音がだんだん近付き、


“あきチャンだ!”


と確信した―――。



次の瞬間、


『こんにちは〜!』


と、隣の佐藤さんにも挨拶しながら病室に入ってきた。


私は、昨日までのキツさを分かってもらおうと、


しかめっつらで会う気だったのに、


来てくれたのが嬉しくて、


またもや満面の笑顔で出迎えてしまったのだった…。



それからよくみると、


あきチャンの手には、とても綺麗で大きな花が抱えられていた。
< 315 / 367 >

この作品をシェア

pagetop