人魚になりたい
「もうわたしでいることが嫌になったのです」


わたしはテーブルにカップを置くと、彼と向き合いました。



「笑いますか?」



『まさか』

彼は小さな声で言いました。



『それなら、こっちに来ればいい』



わたしはひとつ頷いて、アクリルの水槽に手をかけました。

水の中で彼がゆらりと尾びれを動かしています。



わたしはいつも彼を―――囲われた彼を見ていたけれど、囲われているのはわたしなのかもしれないと思いました。



わたしを理解してくれるのは、彼しかいないのでしょう。


そして、わたしは、彼のもとに頭から飛び込んでいったのです。






     <人魚になりたい>


 
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