Second Secret
本当はこんなこと言いたくないんだからなって、顔に書いてある。

その顔を見られたくなくて、少し目を逸らしてる。


それが余計に、何だか可愛くて。


「ごめんなさい」


私はそう言って、本当は抱きしめてほしかったんだけど。

後ろから私を呼ぶ声に、はっとした。


「秋原さん、誰ですか?」


佐伯くんは不思議そうに私に近づいてきた。

ここで先生を、作家だと紹介することなんかできない。

いくら同じ編集者だからといって、先生の正体はできるだけ漏らさないという暗黙の了解があるから。


ましてや佐伯くんなんて、心配だし。


なんて言えばいいかな。


「こいつ、俺のだから返してな。んじゃ、帰るぞ」


考える余地なんてない。

先生はいつだって私の想像を遥かに超えているんだから。
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