Second Secret
結局、打ち合わせが終わるまで、先生はそれ以上手を出してはこなかったんだけど。

まあ、それが社会人として当たり前なんだけど、先生は普通じゃないから。

とりあえず、一安心。


でもこの状況が、出版に至るまで続くと思うと気が遠くなる。


「では、私たちは会社に戻るので。先生もちゃんと仕事してくださいね」

「なあ」

「なんですか」


何か言う前に、ちらっと佐伯くんの方を見た。

目が合ったのか合わなかったのかはわからないけど、先生が佐伯くんを見たのは見逃しそうなくらい一瞬で。


「...いや、何でもない」


そんな風に言われたら、気になってしょうがないけど。

何となく聞かない方がいいような気がして、結局何も聞かずに家を出た。
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