メニィラブ
由緒はぺちんと頬を叩いて一人ごちた。

不眠の原因。
春休み最後の日曜日の昨日、ふいに届いた二通のメール。

―――榊 由緒様。本日午後三時、アゼリアで待つ。多賀 恭介―――

――――榊へ。三時にアゼリア。晋平―――

送信時間はほぼ同じ。

「何だぁ?」

最後の日曜に惰眠と決め込んでいた由緒は少々キレ気味であった。

二人は高校のクラスメートで、晋平は幼稚園からの腐れ縁。
多賀はクラスでも屈指のイケメンだが、暗い雰囲気が災いしてかあまり存在感がない。

根っからのお調子者で、社交性のある晋平だけはやたらと多賀を構って仲がよいみたいだが、そこに巻き込まれるほど、由緒は多賀と接点はなかった。

どうせ晋平が何か企んでいるんだろうと、由緒は晋平だけに返信をした。

(何の用さ?)
(来たらわかる)
(多賀くんも一緒?)
(い、いや?(´Д`;))
(わかりやすい返事寄越すな!)
(とにかく来いな。待ってるから)

ここまでやり取りして由緒は気づいた。

「電話すりゃよかった……」
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