きみくじ当てます



【優那】






「優那ちゃん、劇のことで打ち合わせがあるからちょっと来てぇ」


自分のクラスの模擬店を手伝っていると、山崎さんが廊下側の窓から手招きした。


劇の順番まではまだまだ時間がある。

今ちょうど、3年生のバンドがステージに上がってるくらいの時間。


クラスの子に断って、エプロンをつけたまま山崎さんのところに向かうと、山崎さんは台本をパラパラとめくりだした。


「あのねー、最後のここ、なんだけどぉ…」


そう言って山崎さんが指差したのはクライマックスのシーン。


「ここ、王子のほっぺにちゅーして欲しいの」


「ええ!!なんで?無理無理無理!」


「だめ?まさか妖精からちゅーされるとは思ってないだろうから王子のびっくり顔が拝めると思うんだけどナ~」



あはは……


山崎さんて、


「どうしてもだめ?」


「だめだってば~」


「じゃあさ~」


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