きみくじ当てます
月島くんは階段下の倉庫までわたしを連れてきた。
ダンボールや、置き忘れられた傘がいっぱい入った箱、
倉庫独特の匂いがわたしを出迎えた。
「…あの、つきしま、くん……」
月島くんはわたしを倉庫の中に入れると、自分も中に入って鍵を締めた。
なんで
こんなところに…?
月島くんは倉庫の重い扉の前で私のほうに体を向けて、しばらく黙って俯いていた。
「…どうしたの?」
月島くんは顔を上げてわたしを見た。
だけどその表情が
何かを決心したような真剣な表情で少し怖かった。
わたしが体を堅くしたのにきづいたのか、月島くんは眉を下げて笑った。
「ごめん、柊さん」
月島くんは持っていた鍵を投げ捨てた。
ちゃりんという音とともに、鍵はごちゃごちゃしたガラクタの中に消えていった。
「こういうのはよくないって知ってんだけど、協力するって言っちゃったから」
追いつめられた壁に背中をつけて、月島くんの手がわたしの顔の隣についた。
近づいてくる月島くんの顔を、他人事のようにただ眺めて。
「…久賀くん」
ぽつりと出た言葉は、久賀くんの名前だった。