きみくじ当てます


月島くんは階段下の倉庫までわたしを連れてきた。


ダンボールや、置き忘れられた傘がいっぱい入った箱、

倉庫独特の匂いがわたしを出迎えた。


「…あの、つきしま、くん……」


月島くんはわたしを倉庫の中に入れると、自分も中に入って鍵を締めた。



なんで
こんなところに…?



月島くんは倉庫の重い扉の前で私のほうに体を向けて、しばらく黙って俯いていた。


「…どうしたの?」


月島くんは顔を上げてわたしを見た。


だけどその表情が
何かを決心したような真剣な表情で少し怖かった。


わたしが体を堅くしたのにきづいたのか、月島くんは眉を下げて笑った。


「ごめん、柊さん」


月島くんは持っていた鍵を投げ捨てた。


ちゃりんという音とともに、鍵はごちゃごちゃしたガラクタの中に消えていった。


「こういうのはよくないって知ってんだけど、協力するって言っちゃったから」


追いつめられた壁に背中をつけて、月島くんの手がわたしの顔の隣についた。



近づいてくる月島くんの顔を、他人事のようにただ眺めて。



「…久賀くん」



ぽつりと出た言葉は、久賀くんの名前だった。




< 109 / 148 >

この作品をシェア

pagetop