きみくじ当てます
「何って」
あ、そうだ。
もしかしたら河野なら柊の居場所知ってるかもしんねぇ。
「柊探してたんだけど、知らない?」
「柊さん?」
河野は口元にひと差し指を当てて目線を上にあげた。
やっぱ、知らないか…。
「ああ、見たわよ、私」
「見たのか!」
「男の子と手繋いで歩いてたから、邪魔しないように声かけなかったけど」
はあ!?
ぺろ、と舌を出して肩をすくめた河野に詰め寄る。
「で、どこ行ってた!?」
勢いで肩まで掴んでしまった。
河野はぽかんと俺を見上げていたが、にこっと口角をあげた。
そしてやんわりと俺の手首を持って肩から離すと、まっすぐに俺を見た。
「知りたい?」
「知りたいから聞いてんだよ」
「そう、じゃあ。私について来て。2人が行った場所まで案内してあげるから」
河野はそう言って先に歩きだし、俺について来るように促した。
口で言ってくれりゃ、早いんだけど……
そう思ったが、教えてくれないなんてことになったら困るので黙って河野のあとを追った。