きみくじ当てます
河野のあとについていっていると、なんか見たことのある姿が視界に入り込んできた。
短いスカートの女子高生に鼻の下を伸ばしている、あいつは
「よぉ、遼ちゃん!」
「げ、なんでオッサンがここに」
俺に気づいたオッサンがピッと手をあげて俺に笑顔を向けた。
「見てわかんねぇか?くじ屋だぜ、営業だよ営業!」
「高校の文化祭まで入り込んでくるんじゃねぇよ」
恐ろしいやつだな。
パンパン、と台を叩いてケラケラ笑うオッサン。
通りかかった女子にくじを引かないか声をかけ始めた。
女子にしか声かけてないあたりもオッサンっぽい。
絶対営業目的じゃねーな。
ため息をついていると、河野が不思議そうに近寄ってきた。
「どうしたの?立ち止まっちゃって」
「いや、なんでもない」
河野がオッサンに見つかる前に遠くへ行こうと河野の背中を押したが、すでに遅かった。
「おっ、遼ちゃん!可愛い子連れてんじゃねーか」
…怖えーよ、オッサン。