きみくじ当てます
「さすが色男は違うねぇ。この前の子はどうした、この前の子は?」
「…この前の子?」
オッサンの言葉に河野が俺を見上げてきた。
「あ、ああ~、あ」
俺が言葉を濁すと、オッサンが河野のほうに身を乗り出した。
「ちっこくて可愛いらしい子だよ。ぼうずがな、ポーチを当ててやったんだ」
「ポーチ?…ああ、柊さん?」
「……まあ」
くっそ、
ペラペラペラペラ喋りやがって。
いい加減口を閉じやがれ。
「もういい、河野、ほら行くぞ」
「え、いいの?知り合いでしょ?」
「いいんだって」
「待ちな遼ちゃん」
河野の背中を押して早いとこ逃げようとすると、オッサンが俺の襟首を掴んで引き止めた。
うぜえぇ
煩わしいという感情を隠さずに振り返ると、オッサンはニカッと笑った。
「見誤るんじゃないよ。本当のことは、しっかり目を見据えてりゃ見えてくるもんなんだ」
「は?」
意味のわからないことを言って、ちらり、と河野を横目で見てから俺を解放した。
「大切なものは何か、よく理解しておくんだぞ」