きみくじ当てます
教室の近くまで来ると。
何か、教室のほうが異常に騒がしかった。
「なんだ?」
急いで教室の中に入ると、山崎がふっ飛んできた。
「大変なの、お姫が…!」
「お姫?」
山崎に指を差されて、眉を顰めながらざわめく教室の中心を見ると。
「!?」
河野、と柊!?
俺は飛び込んできた光景に目を疑った。
河野が柊に向かって、王子の剣の切っ先を迷うことなく突きつけている。
剣はアルミ製だし、決して危険というわけではないものの、先は尖っているからやはり危ない。
「あ、俺の剣」
しまったー、なんてのんびり言っている真宏を睨みあげる。
「おいこら真宏!お前がしっかり管理してねーから剣が凶器化してるじゃねぇか!」
そう真宏を責めたてても、真宏はただ笑って、
「大丈夫大丈夫」
と俺の肩を叩いた。
「俺に任せて」
「あ?」
するりと俺の脇を抜けて、輪の中心に向かう真宏の背中をぽかんと見つめた。
……真宏らしくない。