きみくじ当てます


九条くんはわたしと河野さんの間に立って、剣を振り上げた河野さんの腕を掴んでいた。


「ど、いてよ、九条くん!」


河野さんは驚いていたけど、すぐに九条くんを睨みつけた。

九条くんはふ、と笑った。


「やだね。どいたら柊さんのこと殴るだろ?」


「殴らないと気が済まないの…!」


「それはおかしいよ。柊さんは何も悪いことしてない」


その言葉に、河野さんは少し怯んで目を逸らした。

九条くんはそんな河野さんを黙って見つめてから、はぁ、と息を吐き出して。


「殴るなら…、あいつだろ?」


ぴっ、と親指で示した。


その先には、…久賀くんが。


久賀くんははあっ?と表情を歪めている。


「なんで俺が殴られなきゃなんねぇんだよ!」


「ほらね。バカな男は殴るべきだ」


「真宏ぉ!!」


久賀くんがぎゃんぎゃん騒いでいるのを山崎さんが止めている。


わたしもなんで久賀くんが殴られないといけないかわからなくて


というかこの状況もわからなくて



「……っく」


河野さんが剣を下ろした理由も、わからなかった。


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